バーチャルオフィスの住所が使えない業種|許認可ごとの事務所要件と確認先

公開日:  更新日:

 ※本ページはプロモーション(広告)が含まれています。

こんな疑問に答えます
  • これから始める事業が、バーチャルオフィスの住所で問題ないか確認したい
  • バーチャルオフィスが使えない場合、どんなオフィスなら可能か知りたい

バーチャルオフィスは、自分で事務所を借りずに手軽に起業でき、コストも大きく抑えられます。そのため、「会社の住所や法人登記に使っても違法ではないか」と心配する方もいます。

結論として、ほとんどの業種では、バーチャルオフィスの住所で法人登記しても違法ではありません。ただし、行政の許認可や届出が必要な一部の業種では、届け出る住所にバーチャルオフィスを使えません。情報不足のまま起業し、後から気づいて困る方もいるため、事前の確認が大切です。

この記事の結論

許認可・届出が必要な事業では、実態のある事務所が求められ、バーチャルオフィスの住所は使えません。一般の会社・NPO法人・社団法人の登記は、バーチャルオフィスでも問題ありません。

  • 使えない主な業種:職業紹介・人材派遣・士業・建設業・廃棄物処理業・古物商・不動産業・探偵業・風俗営業・出会い系・金融商品取引業
  • シェアオフィス・コワーキングも、多くの業種で不可。独立した個室のレンタルオフィスなら可能な場合がある
  • 要件は所管官庁・都道府県で異なるため、契約前に所管の窓口へ確認する
目次
  1. 使えない業種はどう見分ける?
  2. 住所が使えない11業種の要件と確認先
    1. 職業紹介業
    2. 人材派遣業
    3. 士業
    4. 建設業
    5. 廃棄物処理業
    6. 古物商・不用品回収業
    7. 不動産業
    8. 探偵業
    9. 風俗営業
    10. 出会い系サイト運営
    11. 金融商品取引業者
  3. バーチャルオフィスを使っても問題ない業種
  4. よくある質問
  5. まとめ

使えない業種はどう見分ける?

見分け方はシンプルです。行政に許可・登録・届出をする事業かどうかで判断します。該当する場合は、実態のある事務所の住所が必要になります。

バーチャルオフィスの住所が使えるかを判断するフロー(許認可・届出が必要な事業なら実態のある事務所を確認、不要なら登記OK)
許認可・届出が必要かどうかが、最初の分かれ目です

バーチャルオフィスを使うこと自体は違法ではない

「違法になる」とは、許可・届出の住所にバーチャルオフィスを使うと、申請が受理されない、または要件を満たさず違法な営業になるという意味です。バーチャルオフィスの利用そのものが違法なわけではありません。

住所が使えない11業種の要件と確認先

業種ごとに、事務所の要件と、バーチャル・シェア・レンタルオフィスでの可否をまとめます。代表的な業種の可否は、次の表で確認できます。

古物商・人材派遣・士業・探偵業について、バーチャル・シェア・レンタルオフィスでの可否を示したマップ(バーチャルはすべて不可)
バーチャルオフィスは、代表的な許認可業種のすべてで不可です
許認可・届出が必要な業種と、オフィス別の可否
業種バーチャルシェアレンタル
職業紹介業不可条件により可能条件により可能
人材派遣業不可不可条件によるが厳しい
士業不可士業により異なる(条件により可能)条件により可能
建設業不可不可かなり厳しい
廃棄物処理業不可不可条件による
古物商不可不可条件により可能
不動産業不可不可不可能ではないが条件が厳しい
探偵業不可不可可能
風俗営業不可不可現実として不可
出会い系サイト運営不可要確認可能性あり(要確認)
金融商品取引業者不可不可条件により可能

職業紹介業

有料の職業紹介業を営むには、都道府県労働局を通じた厚生労働大臣の許可が必要です。許可には実際に事業所が存在していることが必要で、バーチャルオフィスの住所では許可を受けられません。

以前は、人材派遣と同じく、事業所の面積が20㎡以上であることが条件でした。その後の法改正で、現在は「面積がおおむね20㎡以上あること」または「個室の設置やパーテーション等の区分により、プライバシーを保護した対応ができること」となっています。そのため、ワンルームのレンタルオフィスやブース付きのシェアオフィスでも、条件を満たせば許可を受けられる場合があります。

オフィス・設備の主な要件
  • 個室やパーティションで区切るなど、プライバシーを保護できる構造であること
  • 紹介責任者の机と椅子を置けること
  • 鍵付きで持ち運びできない袖机・キャビネット
  • 外から見て社名が分かる表札などの社名表示
  • 面談する場所(パーティションで区切られた場所、貸し会議室でも可)
  • 風俗営業などが密集し、事業に好ましくない場所ではないこと

多くのレンタルオフィスには、鍵付きキャビネットや机・椅子があり、個室の会議室を備えた施設もあります。ただし、表札を設置できない施設もあるため注意が必要です。契約前に見積とレイアウトを持って、労働局へ相談するのがおすすめです。

出典 職業紹介事業パンフレット(許可・更新等マニュアル)|厚生労働省 mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116946.html

東京で事務所を開設する場合の問い合わせ先は、東京労働局 需給調整事業第一課(03-3452-1472)です。事務所のオフィス要件は、厚生労働省のパンフレット(PDF)の18ページに記載されています。

人材派遣業

人材派遣業も、バーチャルオフィスの住所では許可申請できません。要件は、職業紹介より厳しくなっています。2015年の派遣法改正で許可制となり、許可申請後は、労働局がオフィスに立ち入り調査をします。派遣元責任者の席、職務代行者の席、鍵付きキャビネット、面談スペース、社名表示があるかなどを確認されます。

職業紹介(20㎡以上または個室・パーテーション)と人材派遣(20㎡以上が必要)の事務所要件の違いを比べた図
職業紹介は面積の代わりに個室・パーテーションも可、派遣は20㎡以上が必要
オフィス・設備の主な要件
  • 事業に使える面積が20㎡以上あること
  • 事務所として利用することが目的であり、独立性が保たれていること
  • 個人情報を保持するための構造であること
  • 派遣元責任者と職務代行者の席と机、面談スペース、鍵付きの袖机・キャビネット
  • 風俗営業が集中するなど、事業に適さない場所ではないこと

職業紹介と派遣の違いは、面積と独立性です。完全個室で20㎡以上のレンタルオフィスなら、パーテーションで区切って可能な場合もありますが、条件に合う施設を探すのは大変なため、通常の賃貸オフィスを探したほうが無難な場合もあります。

問い合わせ先は職業紹介と同じ、東京労働局 需給調整事業第一課(03-3452-1472)です。

士業(税理士・司法書士・行政書士・弁護士など)

税理士・行政書士・司法書士・社会保険労務士・弁護士などの士業は、バーチャルオフィスでの事務所運営が認められていません。開業時に、所属する業界団体へ事務所の登録が必要で、面談や機密情報の取り扱いがあるため、実際のオフィススペースが求められます。

登録団体ごとに要件は若干異なりますが、原則として「①スペースの独立性」と「②パソコン・書類保管場所などの設備が整っていること」が求められ、いずれの士業もバーチャルオフィスは不可です。事務所として完全に独立したレンタルオフィスなら、いずれの士業も可能です。シェアオフィスやコワーキングなどの共用オフィスは、士業によって判断が分かれます。

例えば東京都行政書士会では、登録入会の提出書類に、「同一フロアに他の法人や団体等と同居している場合は、独立性を確保した形態であることがわかる写真を必ず付けること」と記載されています。行政書士は、条件によってはシェアオフィスやコワーキングでも可能と考えられます。

出典 登録の手引き(登録用紙7ページ参照)|東京都行政書士会 tokyo-gyosei.or.jp/registration/pdf/entry-guide.pdf

税理士は日本税理士会連合会の登録の手引き(39ページ)で、司法書士・弁護士も、それぞれの連合会の登録案内で事務所の要件を確認できます。

建設業

建設業は許可が必要な業種で、許可を取るには、「請負契約の見積や入札、契約締結などができる実体的な行為ができる事務所」が必要です。そのため、実体のないバーチャルオフィスでは許可申請できません。シェアオフィスも、条件を満たせず不可です。レンタルオフィスは、条件を満たせば可能と考えられますが、条件に合う施設を探すのに苦労するかもしれません。

オフィス・設備の主な要件
  • 独立した一室を営業所とするのが望ましい。間借りの一室でも、パーテーションで明確に区分され、居住スペースから独立していれば可能
  • 事務所を自分で所有しているか、賃貸借契約を結んでいること(使用権限)
  • 固定電話機、商談(契約)スペース、書類を入れる鍵付きキャビネット
  • 外部から営業所と分かる看板・標識
  • 経営業務の責任者と専任技術者が常勤していること

廃棄物処理業

廃棄物処理業は、申請に明確な事務所の要件はありません。しかし、バーチャルオフィスでは難しいと言わざるを得ません。産業廃棄物の処理業を行うには、都道府県や政令指定都市の許可が必要で、施設・能力・財務など、事業を的確に継続して行えることが求められます。

申請書には「経営状況確認書」などの書類があり、事業所を記載する項目もあります。事業所がバーチャルオフィスでは、その基準に適合しないとして、許可を受けられないでしょう。

東京都で開設する場合の問い合わせ先は、東京都産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出連絡先(03-5388-3587)です。手続きは東京都の許可申請のページで確認できます。

古物商・不用品回収業

古物商は、質屋や、古物を扱うネットショップが対象です。不用品回収業も、ほとんどの場合、古物商の届出をして営業しています。古物商を始めるには、公安委員会の許可が必要で、バーチャルオフィスでは許可を得られません。

古物商の営業所に必要な4要件(拠点・管理者の常駐・古物台帳・プレート掲示)の図解
古物商の営業所は、拠点・管理者・台帳・プレートの4要件が目安です

許可を得るための主な要件は、次のとおりです。

  • 古物の売買・交換・レンタルを行う拠点であること
  • 管理者が常駐していること
  • 古物台帳の備え付け、買取品の記録、契約書の作成、商談スペースが必要であること
  • 古物商プレートを掲示すること

お客さんと対面しないネット販売だけの場合も、事務作業を行う拠点が必要です。営業所は独立している必要があり、シェアオフィスやコワーキングは難しいとされています。レンタルオフィスは、独立性が高く、長期契約であれば、許可を取得できる可能性があります。ただし、都道府県や警察の担当者によって見解が異なるため、事業を始める前に必ず確認してください。

相談者

古物商の届出や登記は自宅の住所でして、ネットショップの住所だけバーチャルオフィスにしたいのですが、いいでしょうか?

編集部

警察の担当者に確認したところ、過去にそのような質問を受けたことはなく、可とも不可とも言えないが、原則不可と思ったほうがいいという回答でした。

自宅住所や、適切なレンタルオフィスで届出することをおすすめします。

出典 古物商許可申請|警視庁 keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html

不動産業

宅建業の免許を取って不動産業を開業するには、都道府県の許可が必要で、実在する個別の事務所が求められます。壁で区切られたスペースと、接客に適した備品・スペースが必要なため、「所在地」だけを借りるバーチャルオフィスでは登録が認められません。シェアオフィスはまず無理で、レンタルオフィスでも事務所の審査が通らない場合が多いと考えてよいでしょう。

オフィス・設備の主な要件
  • 完全個室であること(ブース貸し、共用スペース、移動できるパーテーションの区切りは不可。壁や固定の仕切りで、高さ最低180cm)
  • 従業員数に加えて1人分のデスクと椅子を置ける広さ。自社の個室内で執務と接客を行うこと
  • 24時間365日、独占的に使用できることの証明。他社の同居は認められない
  • 他の会社とは独立した出入口があること
  • 固定の電話機(携帯電話は不可)、独立した郵便ポスト、ドア等の社名の看板

他社と入口や郵便ポストを共有するシェアオフィスや、一部のレンタルオフィスでは、事務所としての独立性が確保されません。

探偵業

探偵業は届出制で、警察へ届出をして、公安委員会から「探偵業届出証明書」の交付を受け、営業所内の見やすい場所に掲示する必要があります。探偵業はプライバシーなど他人の権利を侵害するおそれがあるため、行政が業者を管理し、依頼者が無届けの探偵に依頼しないようにする仕組みです。

届出には事業所の住所を記載しますが、実体のないバーチャルオフィスは認められません。レンタルオフィスであれば、法律上は問題ありません。

届出の方法は警視庁の探偵業の届出要領で確認できます。

風俗営業

風俗営業を始めるには、各都道府県の警察への届出や許可が必要です。ここでは、バーチャルオフィスに問い合わせの多い、次の2つを説明します。

  • 映像送信型性風俗特殊営業(アダルトサイトの営業など)
  • 無店舗型性風俗特殊営業(デリバリー型など)

この2つは、バーチャルオフィスでの届出が認められません。実体のある事業所の住所が必要です。住所がバーチャルだと、営業を適正に管理するという規制が意味を成さなくなるためです。

レンタルオフィスやシェアオフィスは、建物の所有者の承諾が必要で、風俗業の入居を承諾する施設はほとんどありません。そのため、これらの場所でも不可と考えてよいでしょう。届出の方法は警視庁の風俗営業の許可申請で確認できます。

出会い系サイト運営

出会い系サイトやアプリなど、異性を紹介する事業を始めるには、風俗業とは別に、管轄の警察署への届出が必要です。インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律第7条第1項で定められており、代表者の身分証明書や住民票、登記事項証明書などの提出が求められます。

届出の事務所として、バーチャルオフィスの住所は使用できません。「事務所」の定義として、私書箱や電話代行業の事務所は使用できないと規定されているためです。「事業活動の中心となる一定の場所」という定義から、レンタルオフィスは使用できる可能性がありますが、管轄の警察署に確認してください。

詳しくは警視庁のインターネット異性紹介事業の届出をご覧ください。

金融商品取引業者

投資運用業や投資助言・代理業などの投資関係の業務を行うには、金融商品取引業者の登録が必要です。登録には、営業所の設置と、法律で定められた標識の掲示が求められます。また、投資家からの問い合わせや、監督官庁からの照会に対応できる環境も必要です。

登録では、事務所の図面、職員の配置図、標識を掲示する場所を申告します。財務局によっては、賃貸借契約書の写しを求められることもあります。バーチャルオフィスでの登録は不可能ですが、物理的な独立性を確保したレンタルオフィスなら、可能性があります。

バーチャルオフィスを使っても問題ない業種

通常の会社・NPO・社団法人は登記できる

株式会社・合同会社・合資会社・一般社団法人・財団法人・NPO法人などの法人登記は、バーチャルオフィスを使えます。定款の本店所在地や、登記簿の本店・支店・営業所の場所を、バーチャルオフィスの住所にしてもかまいません。

ただし、登記した住所にはさまざまな郵便物が届くため、実際に受け取れる利便性の高い場所であることが大切です。

  • 株式会社・合同会社・合資会社
  • 一般社団法人・財団法人
  • NPO法人

ネットショップの特商法表示

バーチャルオフィスでネットショップを開業する場合、サイト上の特定商取引法に基づく表記に住所を記載します。この住所に、バーチャルオフィスの住所を使うことは可能ですが、いくつか注意点があります。詳しくは特定商取引法表示とバーチャルオフィスの住所表記をご覧ください。ただし、古物商が必要なネットショップは、前述のとおり原則不可です。

よくある質問

バーチャルオフィスの住所で法人登記するのは違法ですか?

違法ではありません。株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人などの法人登記は、バーチャルオフィスの住所でできます。ただし、許認可や届出が必要な一部の業種では、届け出る住所にバーチャルオフィスを使えません。

バーチャルオフィスが使えない業種は何ですか?

職業紹介業・人材派遣業・士業・建設業・廃棄物処理業・古物商・不動産業・探偵業・風俗営業・出会い系サイト運営・金融商品取引業などです。いずれも、実態のある事務所が要件となります。

バーチャルオフィスが使えない業種は、レンタルオフィスなら可能ですか?

業種と条件によって異なります。探偵業や、士業(独立した個室の場合)などは可能ですが、建設業や不動産業は条件が厳しく、風俗営業は現実として不可です。独立性・設備・表札の設置可否を、契約前に確認してください。

古物商の許可で、ネットショップの住所だけバーチャルオフィスにできますか?

警察の担当者に確認したところ、可とも不可とも言えないが、原則不可と思ったほうがいいという回答でした。自宅住所や、適切なレンタルオフィスで届出することをおすすめします。運用は都道府県により異なるため、所管の警察署に確認してください。

職業紹介の事務所は、何㎡必要ですか?

「面積がおおむね20㎡以上あること」または「個室の設置やパーテーション等の区分により、プライバシーを保護した対応ができること」のいずれかが要件です。人材派遣は20㎡以上が必要です。最新の要件は、労働局や厚生労働省の資料で確認してください。

まとめ:許認可が必要な事業は、事前に窓口へ確認

行政庁で許認可を受けたり、届出をしたりする業種は、多くの場合、バーチャルオフィスの住所が認められません。一方、一般の会社やNPO法人などの法人登記には、特に問題がありません。

要件は所管官庁・都道府県で異なり、改正もある

事務所の要件は、所管の官庁・都道府県により運用が異なり、法改正で変わることがあります。この記事の内容は目安として、契約前に必ず所管の窓口へ確認してください。

許認可が不要な事業なら、コストダウンのために、バーチャルオフィスの利用を検討してみてください。

次に読む バーチャルオフィスの選び方や注意点 契約前に確認したいポイントと選び方をまとめています。 関連記事 バーチャルオフィスのデメリット10個とメリット8個 関連記事 バーチャルオフィスで法人登記する方法
編集者

編集者

起業オフィスナビゲーション編集部 ~革新のオフィス秘話~

ネットビジネスと物販の荒波を笑い飛ばしながら、日々起業の奇跡を追う編集部が贈る、ユーモアあふれる秘話の数々。バーチャルオフィスやコワーキングスペース、シェアオフィスなど、最新のオフィス事情をお届けします。