バーチャルオフィスの住所は特定商取引法の表記に使える?条件と記載例

- ネットショップの特定商取引法表記に、バーチャルオフィスの住所を使ってよいのか知りたい
- 自宅の住所や携帯の番号を、販売サイトに出したくない
- 違反にならないための条件と、記載例を知りたい
ネットショップを運営すると、特定商取引法にもとづいて、事業者の氏名や住所、電話番号などを表示することが求められます。自宅の住所を公開したくない理由から、バーチャルオフィスの住所を使いたい方も多いでしょう。
「バーチャルオフィスの住所を使うのは、違法ではないのか」という疑問に、消費者庁の通信販売広告Q&Aをもとに答えます。認められる条件、請求時に提供する方法、記載例をまとめました。
この記事の結論
バーチャルオフィスの住所・電話番号は、条件を満たせば、特定商取引法の表示に使えると、消費者庁が示しています。方法は2つあります。
- 方法1:バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示する(連絡が確実に取れることなど、3つの条件)
- 方法2:請求があれば遅滞なく提供する旨を表示して、住所・電話番号を省略する
- 私書箱の住所や、屋号・サイト名だけの氏名表示は認められません
目次
特定商取引法の表示義務とは
特定商取引法は、消費者が誤認や詐欺などの被害を受けないよう、取引のルールを定めた法律です。ネットショップなどの通信販売も対象で、広告に、一定の事項を表示することが義務づけられています(特定商取引法11条)。
表示が必要な主な事項は、次のとおりです。
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号(法人は、代表者または責任者の氏名も)
- 販売価格、送料などの必要な費用
- 代金の支払時期・方法
- 商品の引渡時期
- 返品・交換・キャンセルに関する条件
表示義務に違反すると、監督官庁から指示や業務停止命令などの行政処分を受けるおそれがあります(特定商取引法14条・15条)。
出典 消費者庁|特定商取引法ガイド 通信販売 通信販売で、広告に表示する事項が説明されています。バーチャルオフィスの住所は使えるのか
結論から言うと、条件を満たせば、使えます。消費者庁の「通信販売広告Q&A」に、次の2つの方法が示されています。
バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示する
特定商取引法の「住所」は現に活動している住所、「電話番号」は確実に連絡が取れる番号を表示する必要があります。消費者庁は、次の条件を満たす場合、バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示しても、特定商取引法の要請を満たすと考えられるとしています(Q18)。
- 連絡先として使う合意:バーチャルオフィスの住所・電話番号が、通信販売の連絡先として機能することを、事業者とバーチャルオフィス運営事業者の間で合意している
- 現住所と本人名義の電話番号を把握:バーチャルオフィス運営事業者が、事業者の現住所と本人名義の電話番号を把握している
- 確実に連絡が取れる状態:バーチャルオフィス運営事業者と事業者の間で、確実に連絡が取れる状態になっている
ただし、事業者やバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実で、消費者から連絡が取れないなどの事態が起きた場合は、表示義務を果たしたことにはなりません。
請求があれば遅滞なく提供する
もう1つは、住所・電話番号(条件を満たせば氏名も)を、広告に表示せずに省略する方法です(Q15・Q17)。次の2つを両方行います。
- 広告に、「消費者から請求があれば、書面や電子メールなどで遅滞なく提供する」旨を表示する
- 実際に請求があったとき、遅滞なく提供できる措置を講じておく
ここでいう「遅滞なく」とは、取引の実態に合わせて、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることです。注文の前に、消費者が情報を受け取れる早さが必要です。
バーチャルオフィスの住所を載せたいなら方法1、自宅の住所を出さず、バーチャルオフィスの住所も載せないなら方法2です。方法2は、請求への対応を確実にできる必要があります。
認められない表示と、注意点
- 私書箱の住所:「住所」は、営業上の活動の拠点となる場所を指すため、私書箱を表示しても、住所を表示したことになりません(Q19)
- 屋号・サイト名だけの氏名:個人事業者は戸籍上の氏名、または商業登記簿に記載された商号を表示します。通称、屋号、サイト名のみは認められません(Q16)
- 電話は24時間対応が必要か:夜間など営業していない時間帯は、留守番電話などを使って構いません(Q20)
- 電話番号:確実に連絡が取れる番号が必要です。転送電話や電話代行で、着信を受けられるようにしておきましょう
記載例
2つの方法の、記載例を紹介します。下の表は、住所・電話番号・氏名に関わる部分の例です。ほかの表示事項(販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品条件など)も、あわせて記載してください。
方法1:バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示する例
| 販売事業者 | 山田 太郎(屋号:●●ストア) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都豊島区●●●(バーチャルオフィスの住所) |
| 電話番号 | 03-●●●●-▲▲▲▲ |
| 電話受付時間 | 平日 9:00〜17:00 |
| メールアドレス | ●●@●●.com |
氏名は、戸籍上の氏名を表示し、屋号は補足として添えます。バーチャルオフィス運営事業者に、現住所と本人名義の電話番号を届け出て、確実に連絡が取れるようにしておきます。
方法2:請求があれば提供する例
| 販売事業者 | 請求があれば、遅滞なく開示します。 |
|---|---|
| 所在地 | 請求があれば、遅滞なく開示します。 |
| 電話番号 | 請求があれば、遅滞なく開示します。 |
| 開示のご請求 | 下記のお問い合わせフォームまたはメールアドレス宛てにご連絡ください。ご注文の前に、書面または電子メールでお伝えします。 |
| メールアドレス | ●●@●●.com |
この方法は、実際に請求が来たとき、注文の前に間に合う早さで提供できる体制が欠かせません。問い合わせフォームを毎日確認するなど、運用を決めておきましょう。
運営前の4つの確認
- バーチャルオフィスに、現住所と本人名義の電話番号を届け出る(契約時の本人確認とあわせて行います)
- 連絡が確実に取れる体制を作る(郵便の転送、電話の転送・代行)
- 問い合わせフォームやメールを毎日確認し、開示請求にすぐ対応できるようにする
- 販売サイトの規約も確認する。Amazonや楽天などのモールでは、モール独自に、出店者情報の開示を求めることがあります
よくある質問
バーチャルオフィスの住所を、特定商取引法の表記に使うのは違法ですか?
違法とは限りません。消費者庁は、事業者とバーチャルオフィスの間で連絡先として使う合意があり、運営事業者が現住所と本人名義の電話番号を把握していて、確実に連絡が取れる状態なら、要請を満たすと考えられるとしています。連絡が取れない場合は、表示義務を果たしたことになりません。
屋号だけで、事業者名を表示してよいですか?
認められません。個人事業者は、戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号を表示します。屋号やサイト名は、補足として添えることができます。
私書箱の住所を、表示できますか?
できません。特定商取引法の「住所」は、営業上の活動の拠点となる場所を指すため、私書箱を表示しても、住所を表示したことになりません。
自宅の住所も、バーチャルオフィスの住所も載せたくない場合はどうしますか?
請求があれば遅滞なく提供する旨を広告に表示し、実際に請求があったとき、遅滞なく提供できる措置を講じれば、住所と電話番号を省略できます。「遅滞なく」は、申込みの意思決定に先立って、十分な時間的余裕をもって提供することを指します。
電話は、24時間対応しなければなりませんか?
いいえ。夜間など営業していない時間帯は、留守番電話などを利用して構いません。ただし、確実に連絡が取れる番号を表示する必要があります。
まとめ:連絡が確実に取れる状態にして、2つの方法から選ぶ
バーチャルオフィスの住所は、条件を満たせば、特定商取引法の表示に使えます。ポイントは、消費者から確実に連絡が取れる状態にすることです。
- 方法1:バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示する。連絡先として使う合意、現住所と本人名義の電話番号の把握、確実に連絡が取れることが条件
- 方法2:請求があれば遅滞なく提供する旨を表示し、住所・電話番号を省略する。実際に間に合う体制が必要
- 私書箱と、屋号だけの氏名表示は不可。個人事業者は戸籍上の氏名を表示する
最終的な判断は、事案ごとに異なります。不安な場合は、消費者庁や、弁護士などの専門家に確認してください。
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